さて、話を少し遡ろう。

「Kは、ジャーナリストになる以前、自分が勤務していた民間企業で引き起こされた「連続保険金殺人事件」を追及してきた。具体的な5つのケースの保険金殺人事件を追いかけたのだ。傍系会社の作業所で、作業者が作業用エレベーターに挟まれて死んだ。同じ傍系会社の工場に勤務する独身者が誰かと飲酒後、突然死した。恐らく、VXガスなど使ったのであろう。VXガス?つまり、この会社には、上九一色村で摘発されて逃亡した「オヲム」が巣食っていたということだ。逃がしたのは、警視庁内部の裏社会組織であったが。会社と幹部は、Kを三人目の犠牲者にしようと企んだ。恐らくオヲムへの上納金を稼ぎ出すためだったであろう。だが、Kは彼らの企みを察知し難を逃れた。」

この、ジャーナリストKの話には、続きがある。

Kは、勤務していた機械メーカーで、傍系会社の社員の保険金殺人に遭遇した。二人が殺され、三人目にノミネートされたのが、Kだった。だが、幸いにKは、会社内部の犯罪チームの目論見を察知し、辛くも魔の手から逃れた。会社は、オヲムに恫喝され、舎弟企業化していた…..。

会社にオヲム信者から、機械設備を買いたいと「オヲム」を名乗って問い合わせがあった。当時、既にオヲムは社会問題化していた。なぜ、オヲムはわざわざ、教団名を名乗ったのか?会社の幹部に「恫喝」を与えるためである。

ムサシ・マシナリーのすぐ隣のアパートにオヲム信者複数が暮らしだした。ムサシ・マシナリーの敷地内をサマナ服のまま通り抜ける。わざと敷地に入り込むことで、会社のトップにプレッシャーを与えているのだ。そして、警視庁の警官が四六時中、アパートの脇に警察車両を止めて監視した。

オヲムは、ムサシ・マシナリーを舎弟企業化しようと画策していたのだ。そして、ムサシ・マシナリーは見事にオヲムの軍門に下った。舎弟企業は、オヲムへの上納金を捻出するため、Kを殺害して団体保険を手に入れようと企んだのだ。

Kに対する殺害工作は、ことごとく失敗した。一味は、Kの自家用車に毒ガスを仕掛けた。Kは、視覚などに軽い症状を自覚して難を逃れた。その時の後遺症で、脳細胞の一部が壊死しているかもしれない。Kは、自分が死んだら、解剖して脳を調べてほしいと希望しているという。もしかしたら、壊死した脳細胞の代わりに、使っていなかった脳細胞が活性化して、「スーパーマンK」が誕生したのかもしれないのである。

また、一味は自家用車のタイヤに細工した。ダイハツ・ラガー2.8リッターディーゼル車は、空気が抜けるように細工されたタイヤのまま、東名高速を70キロ、毎時100キロの速度で走り切ってくれた。Kの乗用車は転倒することもなく目的地にたどり着いたのだ。

会社で出されるお茶の異様な味に気が付いたのは、「あれ」が混入され始めてから一か月もたったころだったろうか?調子が悪いのを自覚していたK。お茶を飲まなくなったら、体調が戻ってきた。あの頃、なせか、あてもなく太陽の下を歩き回っていた。それが、最善の治療方法だったのだろう。一味は、Kを殺すことを諦めたようだ。

オヲムに操られた社長、カトウ某は、会社を去ると決めたKを応接室に呼んで、切り出した。「君も会社を辞めれば、生活に困るだろうから、どうだい、この病院に行ってみないかい?ここで、診察を受ければ、傷病手当金が受けられるんだ。」少し考え込むKの眼差しに「疑惑」が浮かんだように思えたカトウ某は、狼狽して思わず口走った。「あ、いや….この、病院でなくてもいいんだよ。」カトウ某の心の動揺を見て取ったKが、カトウの指定する精神病院に行くことはなかった。もし、カトウ某の言う通りにしていれば、Kは、精神病院で拘束され、「死亡退院」させられていたであろう。そして、団体保険金が、会社に…..。

それにしても、なぜ、Kはたまたま、オウムに乗っ取られた企業などに在籍してしまったのか?

たまたまではない。天の配剤なのである。この会社にいたからこそ、オヲムの深い闇、そして、この世の深奥の構造を、Kは知るに至ったのだ。その後の一連の告発活動の原点が、このオヲム舎弟企業にあったのだ。Kが生涯を掛けてなすべき「仕事」は、この時点で「天」によって定められていたのだ。

オヲムの上九一色村の強制一斉捜査の直前に、オヲム施設から車両の列が出てきた。待機する警視庁の部隊は、なぜか、この車両の列を摘発せず、見送った。「見逃す」話がついていたのだ。警視庁は、S禍学会の支配下にあり、オヲムもまた、S禍学会の監督下にあったのだ。指揮系統が同じなのである。車両の列は、どこかに消え去った。追跡者は、車両の姿を見失った。オヲム車両は、秘密裏に埼玉を目指した。そして、Kのいた会社の関連会社、ムサシ産業の倉庫に「荷物」は降ろされた。

オヲムは、AK74なる自動小銃を密造していたという。北朝鮮の制式銃弾が使用できるモデルだ。日本テロの実行には不可欠な武器だった。だが、強制捜査時、自動小銃の完成品は見つからなかった。信者は、「ダムに捨てた」といった。実際はどうだったのか?何故、警視庁はダムを浚って捜査しなかったのか?オヲムの車両に積まれた自動小銃は、埼玉の倉庫に運び込まれたのだ。

大量の「自動小銃らしきもの」の搬入に気付いた関連会社の工場労働者は、作業用エレベーターの事故で死んだことにされた。口封じである。倉庫の一部で火災が発生して、なにかが燃えた。消防署がいったんは鎮火したのに、あとから再発火し、全焼した。いな、全焼させたヤツがいる。自動小銃AK74は、今も温存されている。「オヲム事件の本番」に備えて、油紙に包まれて。

そして、オヲム事件の本番が開始されたとき、隠されているAK74は、日本各地に潜伏している2万人の北朝鮮工作員の手に渡るのである。(続く)

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